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既存物件の現行の用途によっては、用途変更時に注意しておくべきポイントは異なります。
ここでは、具体的に小売店の物件を別用途に用途変更する上で押さえておきたいポイントを解説した上で、実際に小売店の物件から用途変更した事例を紹介します。
小売店として使われていた既存物件を用途変更する際には、変更後の用途に応じて法律で定められた条件を満たすように手続きや施工を進める必要があります。
小売店や物販店は、建築基準法では「サービス店舗」として事務所と同等に取り扱われています。
そのため、飲食店や保育施設などの特殊建築物へと用途変更したい場合には、既存物件の状態では防火設備や避難設備、衛生設備などが不十分な可能性が高く、用途変更後の適法性を保つためには適宜改修工事が必要になります。
小売店を特殊建築物へ用途変更する場合には、用途変更規模を200m2未満に抑える等の工夫によって確認申請の工数を削減することも検討するとよいでしょう。
もちろん、用途変更後に新たな事業を始める上で必要な設備を整備するためには、どうしても用途変更規模が大きくなってしまうこともあり、その場合は確認申請業務が発生します。
無理のない範囲で確認申請を不要にできれば、用途変更全体にかかる時間や費用を大幅に削減できるので、設計事務所や工務店に相談しましょう。
【画像付き】東京での用途変更事例と
その申請・施工会社のまとめ
建築再構企画は、神奈川県川崎市で物販店として使われていた物件を高齢者向け福祉施設へと用途変更した実績を持ちます。このプロジェクトでは、既存物件は検査済証を取得しておらず、用途変更後に認可施設として開業するためには物件の適法性を調査する必要がありました。
加えて、変更後の用途である保育施設は建築基準法で特殊建築物に定められており、用途変更規模が200m2を超えていたため確認申請も必要でした。建築再構企画は、自治体との折衝や既存物件の現地調査を通じて、竣工当時の適法性を示す既存不適格調書を作成しました。
また、オーナーには調書を提出することで将来にわたり物件の適法性を担保し、テナントにはフリーレント期間延長によって用途変更費用を捻出しやすくすることで、双方が納得のいく利害調整に貢献しました。
建築再構企画には、東京都武蔵野市にあった小売店舗を保育施設として用途変更した事例もあります。この事例では、保育施設としての認可を取得するために望ましい物件を探す段階から介入し、コンプライアンスチェック、設計業務、施工までを一貫して請け負いました。
保育園として新規の認可を得るためには、建築基準法だけでなくバリアフリー法や児童福祉法などの関係法令にも準ずる必要があります。採光規制をクリアするための窓面積の調整や、多目的トイレ等のバリアフリー設備の整備、二方向の避難経路の担保など、細かい基準を満たす既存物件を探し出し、コンプライアンスに沿った改修工事を進めました。
用途変更手続きに関しては、確認申請の対象外であることを行政機関に確認することで、申請業務にかかる時間や費用を削減することに成功しました。