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家屋を住宅へと用途変更する場合、どのようなことに注意したらよいでしょうか。ここでは、用途変更の必要性や届け出事項のほか、既存建物を家屋(住宅)へと用途変更した事例をご紹介します。
既存建物を事務所や店舗などから住宅へと転用しようとする場合、用途変更の手続きが必要です。届け出事項を添えて、自治体へと連絡しましょう。
事務所や店舗などの用途で使用していた既存建物を家屋(住宅)として使用する場合、1か月以内に自治体へ用途変更の手続きを行わなければなりません。
用途は本来、登記簿や実地調査時の情報に基づいて判断されます。用途変更があった場合、固定資産税や都市計画税は、賦課期日の現況で課税されます。
そのため、以下のような場合、建物の用途変更をすることで税額が変わることがあります。
家屋について
・評価替え年度に適用する、経過年数に応じた減価率が変更される場合
・用途変更に伴う増築や一部取り壊し等による床面積の変更がある場合
土地について
・住宅用地の特例(住宅用の土地にかかる減額措置)が適用される場合、または外れる場合
用途変更を行ったときは、対象となる物件についての以下の事項をメールや電話にて自治体に届け出る必要があります。
用途変更の内容次第では、実地調査や必要書類の提出などを求められることもあります。
用途変更にかかる手続きは煩雑で、膨大な書類申請を伴います。こうした書類を作成するのにも多大な時間がかかり、素人が行うにはハードルが高い作業です。
早めに専門家に対処を依頼するのが賢明でしょう。
依頼にあたっては、掲載事例をよく確認し、用途変更の対処実績が豊富な建設施工会社を選ぶことをおすすめします。
【画像付き】東京での用途変更事例と
その申請・施工会社のまとめ
CABONでは、診療所として使用されていたフロアを共同住宅へと用途変更するプロジェクトを手がけました。
周辺に新築マンションの多い土地柄、築古物件を競争力のある共同住宅として生まれ変わらせるには、相応の付加価値をつけることが必要でした。
そのため、好立地と住居面積の広さを活かし、ファミリー層向けに設備やライフラインの整備された住宅となるよう設計しました。デザイン面でも新築物件との差別化を図り、高感度なユーザーに訴求する空間となっています。
ミサワリフォームは、事務所利用を目的としてテナント貸ししていた築31年超の物件を、共同住宅へと用途変更した実績があります。
事前に市場調査を行い、さまざまなライフスタイルに対応可能な住居へのコンバージョンを提案。コスト低減に配慮しながらも、室内の仕様や水回りのスペックなどにこだわり、近隣の賃貸にはない魅力を備えた都市型共同住宅を誕生させました。
共同住宅へ用途変更の場合、「2以上の直通階段」を設けなければなりません。次は、建築基準法で規定されている「2以上の直通階段」について詳しく解説していきましょう。
「2以上の直通階段」とは、災害時に片方の避難経路がふさがっていても、もう片方の避難経路から逃げられるように階段を設置することを指します。これは、建築基準法施行例121条できていされているので、必ず設置する義務となっています。
しかし、「2以上の直通階段」は、すべての建物に該当するというわけではありません。共同住宅や児童福祉施設、病院などが該当します。診療所の場合は、もっと厳しい設置基準があり、主たる用途に面積が50平方メートル超の場合に、「2以上の直通階段」が必要となるのです。
準耐火構造の建物の場合は、100平方メートル超と建物の基準によって、設ける基準が変わりますので、用途変更する場合、自分の用途では、該当するのか事前に確認作業を行いましょう。
用途変更の場合、「2以上の直通階段」はすべての建物に該当するわけではありません。しかし、福祉施設や共同住宅に変更する場合は、「2以上の直通階段」に変更しなければなりません。その場合は、新たに階段を設置する工事を行いますが、立地上、階段を屋外や屋内に設置することが難しいケースもあるでしょう。
どうしても、設置することが難しい場合は、面積での条件緩和から用途変更に該当できるか探ってみるのも一つの手です。というのも、床面積の条件では、建築基準法121条によると、児童養護施設への用途変更の場合、居室の床面積の合計を50平方メートル、または、準準耐火構造物の場合は100平方メートル以内に収まっていれば、2つ以上の避難経路階段を設置しなくても良いのです。
共同住宅も、居室の床面積の合計を100平方メートル、準準耐火構造物の場合は200平方メートル以内に収まっていれば設置は不要なので、小規模な施設でも運営できるかなど新たに検討する必要があるでしょう。
令和2年4月1日に施行された「改正建築基準施行令」によると、「2以上の直通階段」の設置基準は緩和されました。この緩和対象は、「階数が3階以下」「延べ床面積が200平方メートル未満」の建物で、病院や児童福祉施設、ホテルや共同住宅です。
条件としては、避難階以外の階を用途に応じて間仕切り壁や防火設備による区画を行えば、「2以上の直通階段」の設置を義務づけることはなくなりました。基準緩和を受けて用途変更できる建物該当数も増える可能性がありますので、空き家のオーナーさんは一度検討してみると良いでしょう。