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用途変更は、所有している建築物を有効活用するための手続きです。ここでは、「そもそも用途変更って何なの?」という基本的な内容を解説します。用途変更のメリットを理解して、建築物の運用に役立てましょう。
用途変更という手続きや工事は、どんな時に必要になるのでしょうか。ここでは用途変更が必要になる場面とその理由を紹介します。
用途変更とは、事務所や賃貸などある目的の既存物件を、別の目的で活用するために必要な手続きや工事のことを指します。建築物のオーナーにとって、所有する物件を有効に活用することは最優先課題といえます。
採算が取れなくなってきた既存物件は、例えばコンビニだった物件を飲食店として、または事務所だった物件を賃貸物件として転用した方が良いケースがあります。そういった場面で必要な法的手続きや工事全般を指して「用途変更」と呼びます。また、必要な書類を行政機関へ提出・申請することを「確認申請」といいます。
なぜ建築物の用途を変更するために手続きや工事が必要なのでしょうか。それは、建築基準法によって、すべての物件はその用途ごとに必要な設備などが定められているからです。
例えば、事務所として使っていた物件を簡易宿泊所として転用する場合は、それまで必要がなかった消防設備などが必要になります。これらの法規を守らなかった場合、労働基準法によって懲役や罰金の対象となってしまいます。実用面だけでなく法的な観点からも、用途変更は必要なのです。
用途変更では、物件の使用用途に合わせて必要な設備などを取り付けます。それだけを聞くと、リフォームやリノベーションと変わらないように思えます。
リフォーム、リノベーション、用途変更(コンバージョン建築)はそれぞれ何が違うのでしょうか。
リフォームの目的は、建物の老朽化した部分などを原状回復まで修繕することです。言い換えれば、建物を「マイナス」な状態から「ゼロ」まで戻すための工事がリフォームです。具体的には、雨漏りや壁に空いた穴の修理などがイメージしやすいでしょう。
一方で、リノベーションとは、建物に新たな機能や価値をつけるために、設備や内装を根本的に刷新することです。言い換えれば、建物を「ゼロ」の状態から「プラスアルファ」の状態にバージョンアップする工事がリノベーションです。
具体的には、畳の床をフローリングに張り替える、壁を撤去して本来2部屋だったスペースを1部屋にするなどの工事がイメージしやすいでしょう。
用途変更は、プラスアルファの工事という意味ではリノベーションと似ていますが、建築物の用途ごと変えるという点、それに伴って確認申請など法的な手続きが発生するという点がリノベーションと異なります。
用途変更は、時代とともに変化する物件需要に対応し、自分が保有する建築物の資産価値を高めるためにも必ず検討するべき手段です。
物件の有効活用に悩んでいるオーナーは、この機会に用途変更に関する理解を深めることをおすすめします。