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コンプライアンスを守りつつ用途変更を実施するためには、意識しなければならない法律が多く存在します。
専門的な法律は用途変更を依頼する建築士事務所が確認するものの、依頼人の物件オーナーも最低限把握しておきたいルールもあります。
ここでは、用途変更に関わる法律の中でも特に主要なものをピックアップして紹介します。
まず確認しておきたいのが、用途変更したいと考えている建築物が建築された当時の建築基準法です。その建築物が当時の建築基準法で定められた基準や要件を満たしていることは大前提として必要で、もし当時のルールを守っていない場合は違反建築物になるため修繕が必要になります。
また、当時の建築基準法では適法だったものの、法改正によって現行の建築関係法令が定める基準を満たしていない場合は、既存不適格建築物に該当します。この場合は、現行法に適応するように用途変更しなければならないため注意が必要です。
既存不適格の有無を確かめる以外にも、用途変更手続きでは意識しなければならない法律やルールが多く存在します。ここでは、その中でも特に主要な3つの法律を紹介します。
1つ目の法律は、政府が定める建築基準法です。建築基準法には、戸建てやマンションなどあらゆる建築物を建設する上で守るべき基準が明記されています。
具体的には、用途の異なる建築物を同じ敷地に建ててはならない等の敷地に関するルールや、建築物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない等の道路に関するルール、他にも床面積や高さなど建築物に関する様々な決まりが定めれられています。
参照元:国土交通省HP(https://www.mlit.go.jp/common/001210247.pdf)
2つ目は、都道府県ごとに定められている条例です。例えば、東京都に建てられる物件の場合は、騒音や振動、大気汚染などに関して守らなければならない基準を定めた東京都安全条例、出入り口や廊下、階段などの作り方について定めた福祉のまちづくり条例などがあります。
条例の種類やそこで定められているルールは都道府県ごとに異なるため、詳細は建築士事務所に確認しましょう。
3つ目に、変更後の用途によっては消防法や保健所などに関する様々な関係法令も遵守する必要があります。消防法は、建物が一定条件を満たす場合には、消防設備士などの有資格者による消防用設備の点検を義務付けるものです。
保健所に関する関係法令としては、地域住民の健康保持・増進を目的としてた地域保健法、母性や乳幼児の健康保持・増進を目的とした母子保健法などがあります。保健所に関する関係法令は、病院や診療所などに用途変更する場合に必ず確認しなければならないルールです。
参考元:総務省消防庁HP(http://fdma.go.jp/laws/)
用途変更する際に必ず意識しておきたい法律の代表例として、建築当時の関係法令、建築基準法、都道府県の条例、消防法や保健関連法令を挙げました。
実際に用途変更を実施する際は、建築士事務所に相談のうえどのような法律を守る必要があるのかを確認しましょう。