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既存物件の現行の用途によっては、用途変更時に注意しておくべきポイントは異なります。ここでは、具体的に倉庫や空き家だった物件を別用途に用途変更する上で押さえておきたいポイントを解説した上で、実際に倉庫や空き家の物件から用途変更した事例を紹介します。
近年、日本国内の空き家の増加は深刻な社会問題であり、ニュース等でも頻繁に取り上げられています。一方で、既存の空き家を再利用することで、新築物件よりも費用を抑えて事業を開始できるため、倉庫や空き家の用途変更は社会的な関心が高いトピックです。
既存の倉庫や空き家を別の目的へと用途変更する際に気をつけておきたいことは、建築基準法が定める要件に沿って確認申請を行うことです。確認申請を行うべき理由は大きく2つあります。
1つはコンプライアンスを守り建物の適法性を保つためです。
建物はその用途によって、防火設備や衛生設備、耐震設備などに求められる基準が異なります。そのため、例えば倉庫などある目的で使用されていた建物を別の目的で使用するためには、その旨を行政機関へ申請し、新たな用途に必要とされる設備や性能を整える必要があるのです。
確認申請を怠ると、違反物件として罰金等のペナルティの対象となり、場合によっては営業停止処分などを受ける恐れもあります。
2つ目の理由は、確認申請が必要であるにもかかわらずその要件を満たしていない物件というのは、衛生面や安全面において非常に危険な物件であるためです。例えば、倉庫として使っていた空き家を飲食店として再利用するケースを考えてみましょう。飲食店は火や食材を取り扱う物件であるため、衛生設備や防火設備に求められるレベルは倉庫とは全く異なります。
法律で定められた基準を満たさない物件で事業を始めることは、後々取り返しのつかない問題を引き起こしてしまうリスクを伴います。そうならないためにも、倉庫や空き家を用途変更する際には必ず確認申請の必要の有無を確認しましょう。仮に確認申請の対象外であったとしても、その他の用途変更手続きが不要になるわけではないため、建築士や設計事務所の指示に従って手続きを進めましょう。
【画像付き】東京での用途変更事例と
その申請・施工会社のまとめ
倉庫・空き家を含めた既存建築物の用途変更は、2019年の建築基準法の改正により、手続きの負担が軽減されました。ここでは、その概要や手続きなど、倉庫・空き家を用途変更する際に知っておきたいことをまとめました。
倉庫・空き家を含め、既存建築物をそれまでと違った用途で使用する場合、建築確認申請によって「確認済証」の交付を受ける必要があります。しかし、2019年の建築基準法の改正により、延べ面積が200㎡以下の建築物は建築確認申請が不要となりました。国内にある空き家の多くが200㎡以下の規模であることから、倉庫・空き家を利活用するハードルが下がったと言えます。
建築確認申請にあたっては、竣工時に発行される「検査済証」が必要です。改正前の建築基準法の規定では、検査済証のない建築物の場合、その建築物の適法性を証明しなければなりませんでした。この負担がなくなることで、倉庫・空き家の利活用が促進されると見込まれます。
倉庫・空き家を用途変更する場合、その建築物が「特殊建築物」か「非特殊建築物」のどちらに区分されるかを確認する必要があります。
戸建住宅から事務所への変更など、非特殊建築物を非特殊建築物へと用途変更する場合、建築確認申請は不要です。
特殊建築物を非特殊建築物に用途変更する場合も、建築確認申請をおこなう必要はありません。飲食店を戸建住宅に変更する場合などが、これにあたります。劇場を映画館に変更するなど、建築物を類似の用途に使う場合も、建築確認申請の手続きは必要ありません。
倉庫・空き家を飲食店に改装するパターンも少なくありません。しかし、飲食店に関しては他の用途との類似性を認められないことが多いため、注意しましょう。飲食店を物販店として使用したい場合、建築確認申請が必要です。
用途変更をした場合、変更後の用途によって、適用される法律や条例が変わります。建築基準法をはじめとした建築物にかんする法律でも、用途に応じたルールが定められています。
用途変更によって、守るべき法律や条例が変わることがあるため、それぞれに適合するよう建物の改修や、関係規定に合った手続きをする必要があります。
倉庫・空き家の用途変更は、複雑な手続きを伴います。こうした手続きを自分でおこなうのは負担が大きいと言えますが、一般的な不動産会社では取り扱っていないケースも多く見られます。用途変更の際は、専門業者を見つけて手続きを依頼するのが望ましいでしょう。
CABONは、東京都文京区にて倉庫として使われていた既存物件をフレンチレストランへと用途変更した実績を持ちます。着工時に建物内部がほとんど空であったことと、天井が高く開放感のある間取りを活かして、自由な間取りで飲食店として再生することに成功しました。
他の物件と比べると、倉庫は壁や柱が少ないため解体費用を抑えられて、飲食店として開業する上で可能な限り初期費用を削減することに貢献しました。
ドキアーキテクツでは、福島県白河市の空き家を活用して、地域のリフォーム会社のショールーム兼オフィスに用途変更した実績があります。
地域密着型のビジネスを展開するクライアントのニーズに合わせて、地域住民から親しまれる様なデザインを追求した結果、近隣の植生や風景と調和するような庭木や外装を実現しました。
ショールームのオープンイベントでは、500名を超える動員数を達成し、商圏内での競合他社との差別化に貢献しました。