公開日:|更新日:
既存物件を用途変更する上では、どのような物件からの用途変更でも気を付けるべき共通のポイントと、変更前の物件の用途に応じて特に留意するべきポイントがそれぞれあります。
ここでは、用途変更に関する共通の注意点を紹介した上で、用途変更前の物件別に押さえておきたいポイントを、倉庫・空き家、事務所、飲食店、病院・クリニック、小売店の5種類に分けて紹介します。
どのような用途の既存物件でも、用途変更をする際には変更後の用途に応じて確認申請をする必要があります。
行政機関への確認申請が必要になるのは、変更前と変更後で物件の用途が大幅に変わり、変更後の用途が建築基準法で特殊建築物に定められており、用途変更規模の合算が200m2を超える場合です。
倉庫や空き家を用途変更する場合は、変更後の用途に合わせて耐震設備や防火設備などが十分に整備されているかを確かめる必要があります。特に、長年使用されていない空き家などは、法改正にともない現行の建築関連法案では既存不適格となってしまっているケースがあります。
事務所として使用されていた物件の用途変更では、確認申請が必要でない場合でも変更後の用途に合わせた設備の拡充が必要です。
例えば、事務所から学習塾へと用途変更する場合、学習塾は特殊建築物ではないため確認申請は不要であるものの、多くの利用者が密集することを想定すると換気設備や避難設備などを整備した方がよいケースがあります。
飲食店を用途変更する場合は、既存物件の設備を有効活用することが重要です。
飲食店として使用していた物件は、その物件が適法である限り、すでに十分な防火設備や衛生設備を備えています。それらの既存設備を活用して用途変更すれば、開業にかかる費用を削減することができます。
病院やクリニックを用途変更する場合も、飲食店と同様に既存設備の有効活用が重要です。
特に、病院として使われていた物件はベッドを有しているため、同じくベッドを必要とする介護施設やエステサロンなどへ用途変更すれば、用途変更費用を抑えつつ既存物件を再活用することができます。
小売店の物件は、衛生設備や防火設備が不十分なケースもあるので、変更後の用途に応じて必要な設備を拡充する必要があります。用途変更費用を削減するには、変更規模を200m2に抑えて確認申請を不要とする等の工夫があります。
ホテルや旅館からマンション・共同住宅へ用途変更する場合、まず必要なのが旅館業の廃業届の提出です。また、床面積の合計によって用途変更の確認申請手続きが必要となります。その他、変更が必要な設備もあるので事前に確認するようにしましょう。