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用途変更をする建物内にエレベーターが設置されている場合、そのままでは利用できなくなる可能性があります。なぜならエレベーターは、建物の用途ごとに厳密に規定が定められているためです。
ここでは用途変更とエレベーターの規定について解説します。エレベーターのある建物を用途変更する際の注意点も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
建築基準法においては、種類ごとにエレベーターの規定が決められています。まず国土交通省では人が乗降する一般的なエレベーターに関する決まりは次のとおりです。
さらに建築基準法ではエレベーターを含む「昇降機」が次のようにいくつもの種類にわけられています。
それぞれの種類について点検項目や判定基準が設けられており、そのルールに従って検査結果を報告しなければなりません。
エレベーターがある建物を用途変更する場合、緩和規制が利用できなくなり、そのままではエレベーターが使えない状態になることがあります。
たとえばホームエレベーターは一般住宅に用いることしか許されていないため、建物を簡易宿泊所にしたり、介護施設にしたりする場合、ホームエレベーターは使えません。エレベーターを変更する工事が必要です。
もし工場や倉庫として使われていた建物を、事務所や商業施設へと用途変更する場合、エレベーターの検査を管轄する法律が変わることがあります。工場・倉庫であれば労働基準法による検査です。しかし事務所や商業施設となったなら、建築基準法による検査が必要となります。病院や介護施設をその他の施設に用途変更する場合、寝台用エレベーターは使えなくなる可能性があります。
以上のように建物の用途変更をすると、エレベーター検査における管轄元が変わり、設置基準を満たせなくなることがあることも知っておいてください。
建物の用途変更を行う場合、建物だけでなくエレベーターの確認申請と完了検査も終えなければなりません。もし完了検査を行っていないと、1年に1回の定期検査報告書の提出にて不適格扱いとなる可能性が高いためです。
昇降機は運行の安全を維持するため、検査済証がなければ運行できません。建物とともにエレベーターの完了検査も受けてください。
建物の用途変更に伴って、設置されたエレベーターを使えなくなることがあります。エレベーターは用途ごとに厳密な規定があり、不適格と判断された場合は運行できなくなるためです。既存の建物を用途変更して使用する場合には、エレベーターの取り扱いに注意して、申請・検査を行ったうえで適切な運行をしなければなりません。