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用途変更に伴って、建造物の中に「竪穴区画」が必要となることがあります。竪穴区画とは火災の際に、煙と炎の侵入を防いで、避難経路を確保するために設けられるものです。
ここでは用途変更における竪穴区画の新設について解説します。竪穴区画は宿泊施設や病院、児童福祉施設だけでなく住宅でも必要となることがあるため、用途変更する際の参考にしてください。
まず「竪穴区画」とは、防火対策のために用いられる区画のことです。万が一、火災が起きたときのために、煙と炎の侵入を抑えるために設けられています。
ほとんどの場合で階段・ダクトスペースなどに設けられ、火災の際の避難経路を確保するための役割を果たします。
ホテルや旅館などで3階建て以上であり、面積が200平方以下となる場合は竪穴区画を設けることが義務付けられています。必要となる条件は、面積と階数、そして準不燃材料の使用状況です。
もし面積と階数の条件に該当しても、建材や下地、仕上げに準不燃材料を使用していれば竪穴区画を設ける必要はありません。
宿泊施設と同じく、病院や児童福祉施設でも面積が200平方メートル以下であれば竪穴区画が必要です。ただしこちらの場合でも例外となる条件があります。例外となるための条件はスプリンクラーを設置することと、遮炎性能の高い防火設備を設置すること。
病院や児童福祉施設の場合も、3階建ての建物で適用が義務付けられます。
一般住宅でも竪穴区画が必要となることがあります。
竪穴区画が住宅で必要となるのは、主要構造部が準耐火構造もしくは耐火構造である場合です。ただし床面積が200平方メートル以上であったり、一層のみに通じる吹き抜けであったりする場合は例外となります。
居室がある場合の竪穴区画の必要性については条件が多いため、念入りに検討してください。
用途変更によって竪穴区画が必要となる場合、既存の建物では新しく竪穴区画を造れない構造になっていることがあります。もし造れたとしてもコストが高くなったり、工事が大掛かりになったりする可能性があることに注意してください。
竪穴区画が必要となるかどうかは、建物の構造により変わります。もし用途変更によって竪穴区画が必要となり、新しく造ることが難しければ、建物の用途自体の変更を考えてみても良いでしょう。
竪穴区画を造るために工事するなら、当然、工事のための費用が必要です。一般的には200~300万円と言われており、まとまった金額が必要となることに変わりはありません。
用途変更に伴う竪穴区画新設工事のための費用を捻出しておくことは欠かせません。