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「車庫転物件」とは、用途変更申請をせず、もともと車庫であった部分を他の用途として使用することを指します。車庫転物件では収益性が高まる可能性があるものの、申請を行っていないため違反建築物に変わりはありません。
ここでは用途変更における車庫転物件の特徴や合法にするための方法について解説します。もし車庫転物件を保有しているなら、今回の記事を参考に対処してみてください。
用途変更における車庫転物件とは、車庫であったところを用途変更し、結果的に違反建築物となった物件のことを指します。屋内に設置されていた駐車場を、他の用途に変更した経緯があることが特徴です。
しかし車庫転物件は多くの場合、用途変更申請を行いません。そのため違反建築物となってしまいます。
車庫転物件は築30年以上前の物件に多く見られます。なぜなら以前は建物を建てる際の申請率が甘かったためです。
現在ではほぼ100%の確率で確認申請や完了検査が行われていますが、20年以上前には行っていない建物も少なくありませんでした。完了検査を受けていない物件も多かったため、違反建築物である車庫転物件がある可能性は高いと言えます。
車庫転物件が建てられる背景では、建物の容積率・収益性・土地の価値の3つのポイントが絡み合っています。
屋内にある駐車場は容積対象床面積に含まれるものの、延床面積の25%までであれば容積対象とはなりません。一般的に土地の単価は容積率により決まります。しかし駐車場が含まれていて、容積対象となっていなければ、実際の容積率よりも土地の価値が高くなることがあります。
しかし車庫は建物よりも収益性がありません。そのため投資家にとって、屋内の車庫は「利益が少ない部分」となります。
そこで車庫の用途を変更することがありますが、用途変更を行うと元の駐車場の部分は容積対象となってしまいます。そのため用途変更申請も行えず、違反建築物となってしまった物件が車庫転物件です。
参照元:【PDF】国土交通省「(3)-2 駐車場(立体駐車場等)、バイク置場・自転車置場の整備」(https://www.mlit.go.jp/pubcom/04/pubcomt18/07.pdf)
車庫転物件を合法にするには、別の土地を購入することにより容積対象面積を増やす方法が考えられます。車庫部分が容積対象となっていないならば、他の土地によって容積を増やそうという考えです。
もし隣地などで売りに出されている土地があれば、購入して車庫部分の面積としてあてることも可能でしょう。
最も現実的でシンプルな方法は、車庫転物件を車庫に戻すことです。車庫転物件であっても、元通りに車庫に戻してしまえば違反建築物とはなりません。
しかしすでに車庫転物件となった部分が使用されていた場合、賃貸借人に立ち退きを望むことは難しいと言えます。そのためこの方法は、車庫であった部分が使用されていない場合に限り有効な手段です。
もともと車庫であった部分が利用されていて、他の部分が余っている場合に使える方法です。車庫であった部分と同じ容積が余っているなら、余っている部分を容積対象外として申請すれば問題がなくなります。
つまり車庫であった部分の代わりに、他の部分を車庫や倉庫とする方法です。もし建物内に余っている部分があるなら、その部分の用途変更を行うことにより違反建築物となることを避けられるでしょう。