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既存物件を現行の用途から別の用途へ変更する上では、変更後の用途によって注意すべきポイントが異なります。
ここでは変更後の主な用途別に、既存物件を用途変更する上での注意点と、具体的にどの様な既存物件を選べば良いのかを解説します。
さらに、それぞれの用途に関して実際に設計事務所や建設業者が携わった施工事例も紹介します。
昨今の待機児童問題は非常に深刻的な課題であり、既存物件を保育施設に用途変更することの需要は非常に高いです。
保育施設の場合、用途面積が200m2以上の場合は行政機関への確認申請が必要。さらに建築基準法や消防法東京などの都市部ではバリアフリー法なども関係してきます。
既存物件を介護施設や福祉施設、病院へ用途変更するためには、ほとんどの場合で行政機関への確認申請が必要になるため、あらかじめ検査済証が残っている物件を選ぶのが良いでしょう。
また、福祉施設や病院として建物を利用するのであればほとんどのケースで階段が2つ必要になります。そのため、あらかじめ階段が2つ以上ある建築物がおすすめと言えます。
既存物件をホテルなど宿泊施設へ用途変更する場合は、他目的での用途変更の場合と同じく、検査済証が残っている物件を利用することが望ましいです。
また、3階以上に宿泊用途の部屋がある場合は、建築基準法に基づいて準耐火建築物としなければならないため、あらかじめ準耐火構造を搭載している物件がおすすめです。
飲食店として用途変更するには、用途規模が200m2以下の物件であれば確認申請をする必要はありません。しかし、飲食点を開業できる用途地域に属している物件でなければなりません。
飲食店への用途変更を検討しているオーナーは、自分の物件が位置するエリアの用途地域を確認しておきましょう。
学習塾として用途変更する場合は、費用面を抑えたいのであれば既存の電気設備がそのまま利用可能な物件が望ましいです。
また、学習塾に通う子どもたちの安全性を確保するためにも、防火・防災設備が整った物件が好ましいです。近年は新型コロナウィルス感染拡大により換気設備の重要性も増しているため、機械換気も設置できる物件を選びましょう。
既存物件をショールームとして用途変更するには、「そのショールームを利用して成し遂げたいこと」という目標を達成できる物件かどうかが重要です。
ショールームを建てる目的の多くは、そのエリアにおける自社ブランドの認知拡大や顧客獲得です。その目標を実現できる立地条件や保存状況にある物件を選びましょう。
倉庫として利用していた建物をカフェとして利用する場合には、建物の安全基準が異なるため用途変更の手続きが必要です。手続きをしないと罰則が科せられるため要注意。
倉庫をカフェに用途変更するメリットは、解体費用や購入費用を節約できる点です。無骨で開放感のある倉庫は、アンティークやスタイリッシュな雰囲気を持つ店内としてもリメイクしやすいでしょう。
事務所や店舗を住宅として転用する場合は「類似用途」と見なされないため、用途変更の手続きが必要となります。税額に影響することもあるため、すみやかに自治体へと連絡を入れることが大切です。
住宅の用途変更にあたっては、周辺の物件状況なども考慮し、付加価値の高い住居として生まれ変わらせることが求められます。
既存物件を保育施設へ用途変更するには、検査済証が残っている物件を選ぶことが賢明です。
国土交通省の調べによると、平成10年時点で完了検査を受けている建物は全体の約4割と決して多くはありません。物件の検査済証が残っていないことがハードルとなって、用途変更のプロジェクトが進まないケースは多いため、自身が保有している物件が完了検査を受けているかを再度確認しましょう。