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用途変更を行うにあたり、トラブルが発生してしまうケースも考えられます。そこで、具体的にどのようなトラブルがあるのか事例を紹介していきます。
用途変更のトラブル事例を確認しておけば、自分の場合はそういったリスクがありそうか、どのように対応すべきかなどが見えてくるはずです。
契約に関して両社が前向きな考えを持っていたものの、確認ミスが原因で契約が取り消しになってしまった事例です。
空きテナントを抱えるオフィスビルのオーナーが「店舗」として空きテナントの募集を出しました。テナントに入居を希望する業者が見つかり手続きを進め、入店申込書の提示も行われたとのことです。
ですが、建物の謄本を確認してみたところ、表題に「店舗」の記載がありません。そこで、貸主に用途について確認をしたところ、事務所としての登録になっていました。ただ、設備については店舗にも適応しており、用途変更により対応可能です。
しかし、ここから事前準備や申請などまでに大幅な日数がかかることがわかり、結果としてテナントは契約を見送る形となりました。
現時点では事務所としての登録であること、変更手続きに時間がかかることなどがきちんと確認できていれば防げたトラブルでもあります。
建築基準法違反に関するトラブルの事例です。自社所有案件のテナントを募集する際「オフィスでも店舗でも良い」との条件でテナントを募集しました。希望するテナントは「店舗に用途変更ができる」との調査結果を受けて契約を希望することとなったのですが、一級建築士が確認したところ、違法建築であり、用途変更ができないことが判明。契約は中止になりました。
さまざまな店舗にとって好条件の立地条件で書類不備により店舗誘致に失敗した事例です。各種申請に必要な図面や確認済証を紛失したうえに設計会社やゼネコンとも連絡がつきません。さらには前テナントが大規模な改修工事を行っていたこともわかりました。
建築検査の詳細が不明でもともとの建築内容もわからず、そのままではテナント募集ができずに機会を失う結果になるため、関係書類の準備が必要になった事例です。
もともと倉庫として使われていた場所を店舗に用途変更した後、再度もともとの倉庫に戻す際に発生したトラブルです。元に戻すだけなので問題ないかと思いきや、それまでの間に建築基準法や消防法が変わり、倉庫に戻すためには新たな設備導入などが必要になってしまいました。
当時の法律に適合しているからといって今の法律にも対応しているわけではないため、注意が必要です。
用途変更を行うとなると、用途変更によるメリットや魅力ばかり考えてしまうことがありますが、今回ご紹介したようにトラブルに繋がってしまったケースも少なくありません。
自分の場合はどのようなトラブルが考えられるのかについて、事前によく確認しておきましょう。できるだけトラブルのリスクを防ぐためには、用途変更にとって必要となる知識も取得しておくことが重要です。